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紅葉

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 北国育ちにとっての秋は、長い冬の予感が強くしてやや曖昧な気分の季節である。しかし日本人は、桜とならんでこの紅葉の季節が好きだ。京都への観光客は紅葉の盛りの11月がもっとも多い。何年かまえの11月下旬、所用で京都市内のホテルを探したが、どこにも空き室がなくて困りはてたことがある。 支笏湖畔・イタヤカエデ  東北観光は十和田湖や奥入瀬の紅葉時期というのがむかしからの定説で、つまり10月中下旬。ここの紅葉、黄葉がおわると東北は急に淋しくなる。北海道もほぼ同様だ。支笏湖は10月中旬、札幌は少し遅くて下旬だろうか。 人吉城址   九州は常緑広葉樹が基本で紅葉する木はほとんどない。雲仙や久住山などをのぞけは紅葉の楽しみは少ない。ヤマハゼが山中にぽつぽつと紅くなっているぐらいだ。徳之島の知人が紅葉を見たくてカエデの木を買って庭に植えたが、青い葉のまま落葉したという。紅くなるために必要な低温期が奄美にはそもそもないのだろう。  そうはいっても植樹したカエデは九州にもたくさんある。鹿児島から高速道路で1時間半の人吉城址は、城壁の石積みと紅葉の対比があざやかだった。 日比谷公園・首懸け銀杏  東京にも紅葉の名所はある。しかし東京を代表するのは、やはりイチョウの黄葉だろう。イチョウは都の木でもある。明治神宮外苑に大木の並木がある。東京駅から皇居にむかう道の両脇もイチョウ並木だ。東大のシンボルマークはイチョウ、校章、徽章などに使われている。キャンパス内には大きな木の並木があちこちにある。大学前の本郷通りもイチョウ並木だ。日比谷公園に「首懸けの銀杏」という大木がある。まがまがしい名前だが、伐られそうになったときに、自分の首を懸けても移植保存を主張した明治の学者の故事にちなむらしい。 鹿児島大学・鍾馗水仙 鹿児島でのちょうど今頃の楽しみのひとつは彼岸花見物で、しばしば郊外に出かけたりした。いつだったか、鹿児島大学植物園に黄色の彼岸花を発見して喜んだことがある。今月初めに大学を歩いていると、暗い森にこの黄色い花が咲いていた。稲とともに中国から渡ってきたこの植物は、おおむね赤、ときに白花のものがある。黄花のものは鍾馗水仙(ショウキズイセン)といい、彼岸花の近縁種らしい。(2012/10/15)