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忠犬ハチ公

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 東大に忠犬ハチ公像があった。ハチ公没後80周年の2015年につくられたらしい。ハチ公といえば渋谷であるが、東大では飼い主も登場している。  秋田犬ハチの飼い主は東京帝国大学教授の上野英三郎。農業土木の草分けで当時駒場にあった農学部に通っていた。出張する時は渋谷駅から出かけ、いつもハチが見送った。  ハチは1923(大正12)年に生まれてすぐ上野宅に来た。犬好きの上野はたいへん可愛がった。しかし1925年に上野は急逝する。出張に出かけたと思ったハチは、以来10年間11才で亡くなるまで駅で主人の帰りを待ち続けた。  渋谷のハチ公像は1934(昭和9)年に立てられた。除幕式には本人、つまりハチも出席した。その翌年に死んだ。  駅で待ち続けた10年間の、前半はけっこう邪険にされたという。美談になったのはその姿が新聞で紹介されてからで、忠君愛国の時代風潮も後押しした。プロレタリア作家の小林多喜二が特高に虐殺されたのは1933年のことである。  犬といえば、上野の西郷像も犬を連れている。この犬は薩摩犬という小型の猟犬で、ウサギやイノシシ狩りによく連れて歩いた。むかしの屋久島には屋久島犬がいて、農作物を狙うサルなどを追い払っていたという。その屋久島犬もいまはもういない。  犬はもっとも古いペットあるいは家畜である。おおよそ1万5千年ほど前には人と暮らしていたというから、人間との付き合いには年季が入っている。 (2017.12.27)