看板その2

 自宅近くにこの天ぷら屋の看板というか店がある。少なくともこの10年はこの状態のままだ。10年以上前にこの天ぷらの値段だから、それほど安いというわけではない。その割りに店自体はいたって小さく、一種のテイクアウトの店だったのかもしれない。 

 そこから50メートルほど離れたところに、にきび薄毛しみ云々という看板がある。こちらも完全に廃業している。この字の感じはいかにもシロートが書いたとおぼしい。ここは元々美容室だったようだ。

 平成2年に鹿児島に来て一番驚いたのは、このビル壁面の永田シロアリだった。シロアリ駆除の会社は九州のあちこちで見かけるが、ここは天文館の中心も中心、ほんとにど真ん中の場所である。シロアリがまたリアルで迫力がある。この一帯に再開発の構想があり、このビルも対象となっていると最近聞いた。そうなると、あれほど不気味に思っていたにもかかわらず、やや淋しいような気がしてくるから人間の心理は微妙である。 

 奄美・龍郷町の黒糖焼酎瓶が3本並んでいる眺めも独特だ。焼酎瓶の高さは数メートルはあるだろう。奄美空港から名瀬に向かうときには必ずこの焼酎瓶を見ることになる。これもインパクト十分である。 


黒糖焼酎は米麹と黒糖を発酵させてつくるが、意外なことに原材料のコメはタイ米、黒糖は沖縄産のものを使う。奄美ではいまやコメはほとんどつくっていない。黒糖はもちろんたくさんあるが、税制上の措置、沖縄産黒糖との仕分けで、奄美生産分は加工用には使えないことになってるからだという。

(2014.3.11)