蒸気製の白くま

 都会でも意外とたくさんの動物に会う。犬や猫などペットはもちろんだが、動物の看板やぬいぐるみが氾濫している。

 上野は前から街中にパンダがあふれていたが、昨年の子パンダ誕生以来、さらに加速しているようだ。東京都が動物園も経営しているせいか、都営バスにもツシマヤマネコやパンダがいる。

 鹿児島では、天文館山之口通りに金属製のサイがいたし、中央駅前のショーウィンドウにはラッコの親子がいた。しかし鹿児島と言えばやっぱり白くまでしょうか。最初は白くまとかき氷が結びつかなかったが。白くま・無邪気は、たしか昭和21年創業と看板にあった。70年経ったいま、東京のコンビニでも白くまアイスを買うことができる。

 中原中也の詩に、蒸気の白くまが登場する。「無邪気」のPRに使えないかと、密かに考えているが…

「初夏の夜」

また今年(こんねん)も夏が来て、

夏は、蒸気(じょうき)で出来た白熊が、

沼をわたってやって来る。

―色々のことがあったんです。(後略)

中原中也  昭和10年

(2018.1.19)