都忘れ

花屋の都忘れ
 近くの花屋で濃い青というか、やや紫がかった色の花を見た。花の名は「都忘れ」(ミヤコワスレ)。はるかむかし、この名前を聞いて心に残った。13世紀に島流しにあった順徳上皇は、この花を見て都への思いを束の間忘れたという。流された島は佐渡島であった。


東京錦糸町のソメイヨシノ
 ソメイヨシノは、東京染井の植木屋が幕末につくった品種である。

 ソメイは地名から、吉野は当時の桜の名所だった奈良県吉野山から取ったのだろう。江戸彼岸と大島桜を掛け合わせてつくった。この説は、1916(大正5)年珍しい植物を求めて日本全国を渉猟したアメリカの植物学者A・H・ウイルソンも唱えた。彼はもちろん屋久島ウイルソン株の発見者である。

 今年の東京のサクラは開花が早く、もう散り始めた。鹿児島甲突川のソメイヨシノは少し遅いというから、これから満開だろうか。

(2021.4.1)